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Ms.Xの覚書
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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』
2007年 05月 29日 *
4作品を収めた短編集。
『陽気なギャングが地球を回す』がなんとなく楽しめなかったので警戒してしまいましたが、『フィッシュストーリー』は面白く読めました。
といってもまず最初の『動物園のエンジン』では、この本もあまり入り込めないような気がしました。登場人物みんなの精神状態がなんとなく暗いからかな。それに、登場人物がほかの作品とつながっているのもいいけど、『動物園のエンジン』はそのつながりを作るためにこじつけっぽくなっているような。
あまり心躍らないまま読み進めていたら、『サクリファイス』は山奥の小さな村の生贄行事というなかなかに興味がそそられる設定。これで気持ちが盛り上がって『フィッシュストーリー』『ポテチ』ですっかり満足しました。
『ポテチ』は途中からほとんど先が読めたけれど、登場人物が活き活きしていてとても楽しかった。読めたといってもあまり隠しているわけではないようですしね。
面白い本というのは、先が読めるとか読めないとか意外性があるとかないとかいうのとは別なのですね。
もちろん、謎めいた話の運びや意外な結末が大きな魅力になっている小説もあるけれど、よくある展開を描いていても読ませる本や心の琴線に触れる作品というのはあるわけですし。
by pilsnerglass39 | 2007-05-29 06:48 | | Trackback | Comments(0) *