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Ms.Xの覚書
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『山猫』『危険な関係』『悪霊』
2007年 08月 02日 *
ここのところ読んでいた何冊かの本、知らずに読んだのですが今どきの下世話なエッセイでした。読み飛ばしたにもかかわらずすっかり疲れました。
今年は古典を読む、と決意したことですし、実家から持ってきた本にとりかかります。まずは久し振りに読み返したくなったものから。
ランペデューサ(佐藤朔 訳)『山猫』
ラクロ(新庄嘉章・窪田般彌 訳)『危険な関係』
ドストエフスキー(江川卓 訳)『悪霊』
ミハイル・バフチン(望月哲男・鈴木淳一 訳)『ドストエフスキーの詩学』
なんの脈絡もないような、あるような。
『山猫』は19世紀半ば激動のイタリアを背景に、貴族の凋落を描いた作品。ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペデューサ本人もシチリアの名門貴族で、『山猫』は彼の唯一の小説です。訳の佐藤さんは仏文が専門で、伊→仏→和と訳されています。何度読んでも面白い。映画も観ましたが、また観たくなってきました。舞踏会のシーンはもちろん、広大な屋敷で戯れるアラン・ドロンとクラウディア・カルディナーレも印象に残っていますが、公爵の入浴シーンでバスタブから泡だらけで立ち上がってそのままローブを羽織るのが新鮮でした。
『危険な関係』は書簡集の形で18世紀のフランス上流社会の乱れた男女関係を描いた作品。人妻にストーカー行為をしたり、15歳の少女(といっても結婚直前ですが)を手篭めにしたり、現代ならかなりたちの悪い犯罪者ですよ…。実際にこんなに乱れた交友関係が広く行われていたのだったら、本当は誰の子供かわからない状態で多くの家系が続いていったのでしょうか。こちらも映画化されていますが、観てみたいような観たくないような。
『ドストエフスキーの詩学』は、『悪霊』を借りていこうとしていたら父に持たされました。文章が難解…。内容が、というより「いかにも露文和訳」な文調のせいだと思うのですが、漠然と読んでいると全然頭に入ってこないので集中力が必要です。わたしに基礎知識がないことも大きいのでしょうけどね。それにしても第一章なんてずっと同じことを言ってる気がする。中盤からようやく楽しめました。
『悪霊』は学生の頃に読んだきり。ある日、教室の机の中に置き忘れてしまい学生課だか教務課だかに忘れ物の問い合わせに行ったのですが、題名を言うのになんとなく気恥ずかしかった記憶があります。内容はあらすじすら思い出せないくらいだったのですが、久々に読んだら面白い!『山猫』と同じくらい面白いです。ってもちろん比べるものではないのですが、『山猫』は同時期に読んで夢中になったのに、なぜ『悪霊』はまったく印象に残らなかったのか不思議です。
今年は古典…といっても既に半年が過ぎています。まあ、今年に限らず今後のんびり読んでいくことにします。
by pilsnerglass39 | 2007-08-02 22:00 | | Trackback | Comments(0) *